こどもとTRPG-1

Simon Bray 氏が自分の娘2人とTRPGをプレイ - まりおんのらんだむと〜く+
でちょうど書こうと思ってた話があがったので。


小学校低学年の子供とその友達と遠出した帰り。
電車に二時間乗ってるのは、子供にとってはかなり苦痛です。
こちらも疲れているので、騒ぐのを注意とかしたくないw
ちょうどボックス席に俺と子供3人だったので、「冒険をしよう」と言って、即興のマスタリングを始めます。


子供3人は仮名ですが、わっちゃんと、けんちゃんと、てんちゃん、ということで。

わっちゃんとけんちゃんとてんちゃんは、夜の学校にぼうけんに行くことにしました。
もちろん、おとうさんや、おかあさんにはないしょです。
夜の12じに、うら門のまえでまちあわせることにしました。

子供が想像しやすいように、馴染みのある場所を選択。
自分たちの話であることを強調するために、「3人」とかではなく、明示的に名前を入れます。
疲れているし車内なので静かに話したいから、怖い話に。

ふとんの中で目をあけて、ねむいのをがまんします。
ベランダにくつをかくしておいて、こどもべやのまどからそーっとぬけ出して、学校にいそぎます。


外はひんやりとしたくうきで、ちょっとドキドキします。
だれもいないみちに、ぱたぱたと、じぶんの足おとがひびきます。
がいとうのあかりでみちは見えますけど、だれもいません。
ちょっとこわくなって、みんながいるうら門まではしりました。


いきをきらせてうら門までくると、ふたりがまってくれています。
ちょっとあんしんして、みんなでかおをみあわせると、ひみつっぽくわらいます。

学校へ行くまでに他の大人に見つかるんじゃないの、みたいな現実の都会の夜は表現しません。
夜の空気感や、ひとっこひとりいない町というのが、子供にとっての夜の世界なので。


ここまで1人視点で語っていますが、子供たちはそれぞれ自分のことだと理解しています。
手抜きのテクニック、というか、物語の本質ですね。

学校の中を見ると、ようむいんしつのまどからあかりがもれています。


見つかったらたいへんです。


うら門をそーっとのりこえて、ようむいんしつから見えないように、こっそりかくれながら、こうしゃのうらがわにあるいていきます。

まず灯りを提示し、それによってそれ以外の場所の暗さも暗示。
そして、大人がいる、という安心感で最初の一歩を踏み出させます。
大人には見つかってはいけない。
だけど、何か起こったら逃げ込めばいい。
子供の大人への依存心はそういうものですよね。



そしてここからがポイントです。



実は3人の小学校は同じではありません。
俺は裏門から用務員室が見えるかどうかも知らないし、乗り越えられるかも、校舎の裏があるのかも知りません。
話の最初から、俺は「どこの学校」というのも提示していません。


ところがこのとき、子供の心の中には明らかに風景が描き出されています。
それも、すでに「自分の学校」ではなく、知らない場所。だけど知っている場所。



これがモチーフ、要素と原型の力。物語の持つ力です。



この次に「どうするか」を子供たちに選択させるシーンに移って行きますが、それはまた次回。