シン・ゴジラ「Who will know」が輪唱なのを足場に和訳と解釈をしてみる

シン・ゴジラを見た


凄かった。ただただ凄かった。


映画の途中で口を押さえてしまうぐらい。
映画が終わったときに拍手してしまうぐらい。
同じ映画を2度見ることがない俺が2回目を見に行こうと思うぐらい。


20年、いや、40年に1度の映画なんじゃないの、と思う。


中身については書くより「観て」という感じなので割愛。


ただ、最大の見せ場である放射熱線シーンで流れる『Who will know』

聞くたびに涙が出るようになってしまったんだけど
映画を見てるときは歌詞なんて理解できるわけもないから関係なかったんだけど
後から歌詞を見てもっと泣けてきたので
その解釈だけ書いておこうと思う。


以下ネタバレなので、未見の方は必ず見てから。
シン・ゴジラは事前情報がないほうが10倍は面白いです。







なんで俺が書くかというと、単純な一人視点での訳や意訳を書いてくれてるサイトはあったけど、
輪唱が奥さんと博士の掛け合い、もしくは同じ言葉が視点を変えると別の解釈になると書いてくれてる記事が見つけられなかったからです。
もし誰か知ってたら教えてください。


なお解釈が合ってようが間違ってようが、音楽と映像だけで泣けてしまうので、考察は単なる遊びです。


前提として、俺は博士が「ゴジラになった」か「ゴジラに取り込まれた」かはともかく、
少なくともゴジラの内部で意志情報となってゴジラの行動に影響を与えていると解釈しています。


尻尾の人型とか、
なんでゴジラが上陸してくるのとか、
なんで博士を冒頭で行方不明にしといて映画内で決着つけない意味あるの?、
みたいなところでいろいろ整合性がとれるので。


その上で『Who will know』は博士の絶望の叫びとも取れるんだけど、

  • 奥さんとの掛け合い、
  • 博士自身の二面性による葛藤、
  • 原爆や3.11の被災者への祈り、
  • それとちょっと引いた物理的事象、

このあたりを重ね合わせて読みたいなと。


以下、ピンクは女声パート、緑は男声/混声?パートです。
日本語役は俺。
女性パートは死者から見れば熱量のない事実、残されたものから見れば悲哀と二重に読む。
あと途中の男性パートは女性パートと交互に歌うのではなくかぶせてくるので、そこも重ね合わせや葛藤の意図かなと。

Who will know

誰が知るというのか


If I die
  in this world
    who will know
      something of me
私がこの世界で死んだら、誰が私について知ろうとするだろう


I am lost,
  no-one knows,
    there's no trace
      of my yearning
私は失われ、誰も知らず、私の切望の痕跡もない。


If I die
 (But I must)
  in this world
   (carry on,)
    who will know
     (nothing worse)
      something of me
       (can befall)
私がこの世界で死んだら、誰が私について知ろうとするだろう
(しかし、私は続けざるを得ない。いまより悪いことは起こり得ない。)


I am lost,
 (All my fears,)
  no-one knows,
   (all my tears,)
    there's no trace
     (tell my heart)
      of my yearning
       (there's a hole)
私は失われ、誰も知らず、私の切望の痕跡もない。
(私の怖れすべて、私の涙すべて、私の心を伝えよう、ぽっかりと空いた穴を)




I wear a void
私は虚無へと帰り


Not even hope
望むことはない


A downward slope
(冥界への)下り行く斜面が


Is all I see
私の見るすべて




I wear a void 奥さん:虚無へと還る/博士の怒り:ゴジラを纏う
(As long as breath comes from my mouth) 博士の理性:息の続く限り(もちろんゴジラの炎だけど、祝福のブレスとも掛けている?水に飛び込んだ博士の苦しみも?)


Not even hope 奥さん:死者が望むことはない/博士の怒り:わたしにはもう希望がない
(I may yet stand the slightest chance) 博士の理性:私は微かなチャンスに立とう


A downward slope 奥さん:死の国への下り坂/博士の怒り:ゴジラのいる水底へと沈み行くor復讐の黒き闇へと堕ち行く心
(A shaft of light is all I need)  博士の理性:光の柱(救いor原爆による裁きor叡知の光)が私に必要なすべて


Is all I see 奥さん:ただそれだけ/博士の怒り:復讐しか見えない
(To cease the darkness killing me) 博士の理性:私を殺し闇を止めてみせろ

死者は何も望まない、死を悼むのは、復讐を願うのは生者。


そしてキリスト教の「光の柱」による救いのイメージ、
原爆の象徴としての光の柱のイメージ、
原爆を落とさない理性という「光」、


これらをすべてひとつに重ね合わせたような歌詞なのかなー、と感じています。


検索用語句:歌詞 翻訳 和訳 シンゴジラ 庵野 エヴァ
cssが無効化される状況で黄色が読めないようだったので、女性パートを黄色からピンクに変更。