名声値-社会的地位の技能化-2

名声値-社会的地位の技能化-1 - 蒼き月の囁きの続きです。

名声ロール

キャラクターが所属する集団に与える影響、受けられる援助は、名声値で決まります。

名声値 影響と援助
30 メンバーに話は聞いてもらえる。集団の益になることであれば、メンバーが個人的に動いてくれることがある。
50 正式な決定機関に意見を上げること、評価を受けることができる。集団の益になることであれば、集団として動いてくれることもある。
70 決定機関と問題を論じることができる。集団に不利益になることでも動かせる可能性がある。
90 決定機関の一員。自分の責任をかけて集団を動かすことができる。

集団に対して名声値以上の影響を及ぼそうとするとき、キャラクターは名声値を成功率としてD100をロールします。これを名声ロールと呼びます。名声ロールの成功率からは反感値が引かれます。
成功すれば+20、効果的成功であれば+40、決定的成功であれば+60を名声値に加算した影響を及ぼすことができます。
ある課題について集団内で対立する意見があるなら、互いに名声ロールの成功度を積み上げて議論します。マスターは意見の妥当性を鑑みて、ロールにボーナスやペナルティーを与えます。

反感の解消

反感は押さえつけたり、集団内で貢献することでは決して解消しません。反感を解消する手段は「保証」「譲渡」「排斥」の3つです。保証、譲渡、排斥のロールは1回の貢献ロールの代わりに行ないます。

保証
三者(集団)からの評価によって集団内の地位を安定させます。例えば<名声(村落)>に<名声(カルト)>を通して働きかけて、身分を保証させるなどです。緊密に関連した集団同士であれば、<名声(集団A)>でロールし、成功で1ポイント、効果的成功で2ポイント、決定的成功で3ポイント、反感値が低下します。ファンブルすると、反感値が1D6上昇してしまいます。集団の関係が緊密なものでなければ、保証ロールにペナルティーを受けます。
譲渡
集団内で名声を人に譲ることで反感値を下げます。10ポイントの名声値を減らして2D6ポイントの反感値を減らすことができます。譲渡にロールは必要ありません。
排斥
不満を持つ相手を集団から阻害することで有効な反感値を下げます。排斥は失敗すれば名声値を下げ、成功しても集団外に敵を作る危険な方法です。排斥を行なうには名声値でロールします。このロールに反感値のペナルティーはありません。成功なら1D6、効果的成功なら2D6、決定的成功なら3D6、反感値を低下させます。失敗なら1D6、ファンブルなら3D6、名声値が低下します。これによって低下した反感値は集団外からの敵意として<排斥(集団) 低下した反感値>のようにキャラクターシートに記録します。加えて、マスターが減少する前の反感値を成功率としてD100を行ないます。成功なら1D6、効果的成功なら2D6、決定的成功なら3D6、再度反感値が上昇してしまいます。

ここに上げた反感値の解消方法はかなり荒っぽいものです。特に排斥は本来であれば十分ロールプレイするに値します。マスターが望むなら、このルールを使用せず、具体的な行動に基づいて増減させるべきです。

関連する集団、上位の集団

相互に関連する集団では、名声値の初期値に言語のルールと同じように関連する係数を持っています。例えばある地域の社交界で名声の高いキャラクターは、隣接する社交界に五分の一の名声値を持ちます。
集団の構造が階層化されている場合、通常は下位の集団の名声値の五分の一が上位の集団での名声値になります。
集団同士の名声の係数はマスターが設定します。

さまざまな集団

標準的なルールは反感を買わずに妥当な地位を得るのに2年(80週)程度の期間を必要とします。これはおおむね能力に基づいた評価をする公平な集団を表しています。


名声値の向上にさらに時間がかかる集団、能力ではないものに重きを置く集団を表現するには、主に3種類の方法があります。

  • 1.貢献ロールを2週間に1回、4週間に1回のように引き伸ばす。これは能力よりも時間の積み上げに重きを置く集団に適しています。
  • 2.貢献技能セットに<家柄>のような向上し得ない技能を含める。例えば貢献技能セットが<雄弁><自国語会話><政治知識><家柄><家柄>のような集団では、家柄のよくないキャラクターが名声70に到達するのは非常に困難です。
  • 3.集団を階層化する。上位の階層に到達するには、下位の階層で指定の名声値(例えば70)を必要とします。指定の名声値に達して始めて上位階層に上がり、元の名声値の五分の一から再度名声値を積み上げます。このとき必要な貢献技能が変化するのが普通です。官僚機構やヒエラルキー性を重視する集団が相当します。場合によっては5段階、10段階の階層を持つ集団も考えられます。


また、毎週一定の名声値の上昇を強制する集団、名声ロールを2回割り当てることを強制する集団など、さまざまな集団が考えられます。*1
マスターは特徴的な集団、思いもよらない集団とその相関関係で、プレイヤーを楽しませてください。

運用の指針

このルールは1時間に4〜8週間程度を過ごし、キャラクターの生活に一定変化のある状況に適しています。
マスターが時間の経過速度を上げたいと思うときには、貢献ロールの回数と一回に獲得できるポイントを変更すればよいでしょう。

  • 貢献ロールを1季に1回にして、獲得できるポイントを成功で5ポイント、効果的成功で7ポイント、決定的成功で9ポイントとする。
  • 貢献ロールを1年に1回にして、獲得できるポイントを成功で20ポイント、効果的成功で25ポイント、決定的成功で30ポイントとする。

というように、好きなペースと比率で設定することができます。
調整するときは経過させたい期間に10回以上のロールを振れるのを目安としてください。1回、2回だけのロールでは1度のロールが重くなりすぎます。

N氏・サーガ

N氏は<名声(仕事) 60/5><名声(家庭) 30/28><名声(趣味) 90/3>を持っており、日常的にこの3集団に対して貢献ロールを行ないます。
N氏の仕事への貢献技能セットの平均値は70。ロールは成功し、<名声(仕事)>は61に上昇します。次にN氏は趣味へのロールをします。N氏の趣味への貢献技能セットの平均値は103。ところが97をロールしてしまったので、<名声(趣味)>は上昇しませんでした。これを不服としたN氏はもう一度趣味への貢献ロールを行ないます。出目は15で効果的成功です。<名声(趣味)>は92まで上昇しました。しかし今週はすでに3回のロールをしてしまったので家庭への貢献ロールが行なえません。家庭への貢献技能セットの平均値は28なので<名声(家庭)>は29に低下して、いつものことながら発言権はなくなりました。まあ翌週カバーすれば大丈夫でしょう!
翌週は仕事も趣味も成功し、それぞれ名声値に+1。順調です。ところが最後の1回、家庭への貢献ロールで96をロールしてファンブルしてしまいました。1D6で4をロールし。N氏の<名声(家庭)>はなんと25に落ちてしまいました。名声値が反感値より低くなったため、来週以降3%の確率で家庭から追放される確率があります。*2
「仕事」も「趣味」も「家庭」に対しての保証ロールに大きなペナルティーがつくので反感値の減少は望めません。N氏はため息をつきながら、やむなく翌週末の趣味の時間が潰れるのを覚悟で、家族サービスとして家庭への貢献ロールを優先して行なうことにしました。


いかがでしょうか。楽しそうにできたんじゃないかと思います。
キャラクターの目標として「名声値いくつ」というのをセットすると、モチベーションがわかりやすいかな。
あとは実プレイ上で集団の受け入れる技能セットや、利益の引き出し、集団間の相関などを詰めていく予定です。
気になっているのはロールしないとすぐ名声値が低下するところと、2回目、3回目のロールで反感値が自動的に上がるところ。これだと戦略性が低くなるので、もう少し考えてから調整を入れる予定。*3
このルールを詰めるだけで1キャンペーンできちゃいますね。

*1:2008/10/16:段落を追加

*2:2008/10/16:名声値の低下ルールの修正に合わせてN氏・サーガを修正。

*3:2008/10/16:調整済み