キャンペーン立ち上げのメソッドとか

東方諸島で好き勝手な設定をでっち上げて進めているキャンペーンがやんごとなき理由で中断しているので、その参加者向けに別キャンペーンを立ち上げてみる。


今回は「あまりグローランサを知らなくてもいいものがいい」というプレイヤーがいるので、それ用にチューニングしつつ、ダベりながら中身を決めようかなー、と会場入り。
用意したネタは3つで、この中からチョイスしてー、と解説しました。

東方諸島で夢魔

 前キャンペーンが「東方諸島のとある島国に聖王国のキャラクターが流されてくる」という話で、そのキャラクターたちからは見えないように「夢魔術」を設定していたので、今回は地元民で夢魔術を使ってみるのはどうだろう。
 Dream Magicがどんなものかは知らないので、ちょっと捻ってオリジナル魔法を設計。
 一般人は魔法だとは認識せず、日常的な行為として行なわれている。基本機能は3種。

  • 1.事前に出来事に対応した「夢」を見ておくことで、起こった時に発動する。例えば「怪我をしたけど治る」夢をみておくと、本当に怪我をしても治る。一般人は「御札」を枕の下に入れてこれを使っている。
  • 2.出目を取っておく。ちょっと上級者向け。この段階までは魔術と認識せず使っている集団もいる。
  • 3.出目を押し付ける「呪い」。これが使える者たちはいわゆる魔術師。別に悪い結果を押し付けなくてもいいんだけど。
ルナー魔術師学院の冒険!

 10歳〜15歳ぐらいのキャラクターで、先生が「魔法」とか「信仰」を教えてくれる話。ようするにハリポタ+蓬莱。
 キャンペーンとしてのマスターミッションは、ルナー市民がどうやって魔法に触れるかを、キャラクターとプレイヤーが同じ目線で見ること。

職業殺し屋

 殺し屋チームの話。キャラクターの出入りができて、かつ信仰があまり関係なく、ミッション制にできるところが利点。普段の「いい人」メンタリティではなく、殺伐とした暗い熱量をプレイヤーにやってもらうテスト。
 あんまりルーンクエストに適した話じゃないから「深淵」とか「WoD」使うことも考えたけど、まあハンドリングできなくもないのでルーンクエストで。グローランサである必要も全然ないですw
 ちなみに俺は『職業・殺し屋』は好きじゃない、というかどちらかといえば嫌い。別にあのモチーフでやりたいわけじゃなく、単にいま暗殺者というと一番安直に出てくるからこのタイトルですw


で、結果として『職業殺し屋』チョイスになったわけですが、プレイヤーは思ったよりキャラクター作成に苦しみました。


以下、仕掛けとか縛りとか。

  • 1.キャラクターは必ず殺すことに対して何らかの制約がなくてはいけない。
  • 2.チームは他のキャラクターの制約を尊重しなくてはならない。
  • 3.キャラクターは制約を守っている限り、「殺し屋としての行動」に圧倒的なボーナスを得る(あらゆる技能成功率に+50%とか無茶苦茶)が、自覚はしていない。マスターは『悪の幸運』と名付けてます。これもグローランサ的なリソース供給の仕組みとか位置付けとか考えてありますが、いちおう秘密。
  • 4.メンバーは「開けてはいけないお守り」を持たされており、それによって、ミッションに参加する仲間と常時《テレパシー》の状態にある。


キャラクター作成のポイントは

  • なぜキャラクターがこの組織にいるのか
  • なぜキャラクターがその制約を守っているのか
  • キャラクターたちは殺すときなにを考えているのか
  • 殺しの仲間をどう考えているのか

ということですね。


この手のキャラクターは2、3回のセッション・薄っぺらなメンタリティで気楽に遊ぶ分には創りやすいんですが、長期間、深くメンタリティーをトレースしながら楽しく遊ぶのは大変ですw
やっぱり悪人に共感するというのは楽しくないし、否定的に見下げちゃうんですね。
それを正しいものとして、思い込みではなく、心から賛同するレベルまで持っていくのがロールプレイヤーとしての腕の見せ所。
裏を返せば無理な課題への挑戦が葛藤、つまり物語を生み出すエンジンで、キャンペーンの仕掛けそのものだったりもします。
「悪」を定義するのも構造的なポイントで、相対化させてしまうことは簡単なんですが、あえてそれを覆して共通認識にする予定。



あとは適切な年代と場所を選べばいいので、第二期の海洋帝国、どうせ沈むことがわかっているスロントスの超巨大港湾都市に設定。
マルキオン教が信仰心を魔術的に問わない宗教なのをいいことに、いわゆる中世ファンタジーものの世界にチューニング。



・・・システムもシナリオもどうでもいい。モチーフだけでキャンペーンを組み立てる様がありありと見て取れますねw
まあ、俺はだいたいこんな風にキャンペーンを立ち上げますよ、という事例です。