こどもとTRPG-3

こどもとTRPG-1 - 蒼き月の囁き
こどもとTRPG-2 - 蒼き月の囁き

わっちゃんは、ちょっとこわいけど、ゆうきをだして先にすすむことにしました。
次にてんちゃん、それからけんちゃんがつづきます。


わっちゃんが一ぽふみ出すと、あしもとではっぱがかさり、となりました。
すこし土のにおいと木のにおい、つめたい空きのにおいがします。
かぜで木のはっぱがゆれて、ざざっ、ざざざざっ、と言いました。


わっちゃんは、ごくり、とつばをのんでから、もういっぽ、もういっぽと木のトンネルへとすすんで行きます。


さて、このとき子供の意識は前に集中しています。
でもこういうとき本当に怖いのは前じゃないですよね。

校しゃとかべのあいだの木のトンネルはどこまでもつづいているようなきもしてきます。

けんちゃんは、わっちゃんとてんちゃんのせなかを見ながらすすむうちに、なんかだれかに見られているきがしてきました。
そーっとうしろをふりかえると、うら門のむこうのがいとうが下をてらしているのが見えます。
でもなんだか、とてもとおくに来てしまったかんじがします。


けんちゃんはぱっとまえにむくと、てんちゃんのせなかにくっつくようにして、うしろをみいみいあるきます。


このときけんちゃんは電車の中ですけど本当に後ろを向いて、一瞬周りを見回します。
3人ともボックス席から身を乗り出すようにして、顔と顔を近づけながら話にのめりこんできます。



さて、この調子で話を続けると何回書いても終わらないので、ざっと流れだけ書き出すと、3人は校舎と渡り廊下でつながった小さめの建物を見つけます。ただ、2階以上あるみたいで上は木に隠れて見えません。
赤い光はその建物についている火災報知器のランプで、スライドドアがわずかに開いているのもわかります。中に緑色の光が見えて、覗き込むと非常灯がついています。
扉を開けるとかび臭いすえた匂いがし、使われていない古びた下駄箱、二階への階段があります。階段の上からも緑の灯りが見えるので、それをたよりに二階へ上がって行きます。
二階には扉と三階への階段があり、三人は扉を開けてみる選択をします。部屋の中は床板や壁も木の、古い理科室のような感じで描写します。ここで建物の壁を伝ってくる低い音に気づいたり、鼠と遭遇して腰を抜かしたり。この時点でかなり恐怖感が高まっています。もしかしたら戻っちゃうかもな、と思いながら、戻ったときは当然一階の扉は開かないわけですが、まだ三階に上がる選択をしました。
三階に上がる階段は、もう木の階段としてギシギシ音を立てるように描写します。


三階の扉を開ける段では、もう誰があけるかで揉めるようになっていて、
「わっちゃんあけてよ!」
「さっきあけたから、こんどはてんちゃんだよ!」
「えー、てんちゃんもさっき○○だからけんちゃんだよ!」
のように、電車の座席の上ですが、本当に押し合いへし合いするように、だけど声を殺して本当にその場にいるように身体が動きます。




この記事はグローランサ好きに向けて書いているわけではないんですが、グローランサをよく知るみなさんは、このとき何が起こってるかわかりますよね。



子供たちは、本当に異界でヒーロークエストをしているんです。



ここに俺の目指すマスタリングのひとつの理想像が出てきます。
「プレイヤーを本当にヒーロークエストに送り出したい。
 プレイヤーの心を、本当のアドベンチャーに誘いたい。」



次回で最後ですね。