選択-3.週単位成長ルール

導入当時はセッションに参加したキャラクターとしていないキャラクターで成長の乖離が激しいのを緩和しようという意図だったかな。
バランスがかなり甘めですが、うちのセッションに実際に参加した場合の成長率の半分ぐらいのイメージで作ってあります。
プレイヤーには好評なルールのひとつで、キャラクターが日常どういう生活をしているのか、考えるきっかけにもなったり。



このルールはいろいろ細かなことを考えながら作っているんですが、いまではキャラクターの成長は現実的な技術や知識の向上ではなく、物語上での成長、経験値に近いものだなぁ、と。
「成長はキャラクターとしての死だなー」とも考えてしまう今日この頃です。

週単位成長ルール

マスターが許可すれば、プレイヤーはキャラクターを1週間単位で成長させることができます。


まずキャラクターが1週間をすごす「生活パターン」を「業務」「経験」「奉仕」「訓練」「休息」の5つから選択します。
業務:日常生業にしている生活手段を用いたパターンです。唯一収入のある生活パターンです。
経験:生命に危険があったり、生活に大きな変化のある、いわゆる「冒険」に類する生活です。もしくは趣味に没頭した場合もこの欄を使います。唯一POWに向上ポイントを受け取れます。
奉仕:生活費をカルトに負担してもらうのと引き換えにカルトの業務を行います。
訓練:集中してトレーナーの指導を受けます。
休息:傷ついたからだを休めます。


生活パターンごとにキャラクターの技能を上げるための「向上ポイント」の数と割り振れる技能、生活を維持するための収入と支出が決まります。


生活パターン表

生活パターン 向上ポイント 割り振れる技能 収支
業務 3 業務に用いる技能。どの技能を用いるかはマスターに相談すること。
用いる技能は3つに満たなくてもかまわないが、向上ポイントは技能の数までしか受け取れない。
業務に用いる技能の[平均値の二乗÷100]ルナーの収入。
奉仕 2 カルト技能(入信時に試験される技能及び<雄弁><自国語会話><自国語読書><カルト知識><浄化>) なし
経験 5 マスターの認める技能、POW抵抗の発生する呪文を持っていればPOW 生活費
訓練 0 50時間相当の訓練 生活費+訓練費用
休息 2 知識・交渉・魔術分野の研究とAPPの研究のみ。基本ルールブックp43「自然の治癒」を適用可能。 生活費
  1. 生活費は貧困層で週10ルナー、平均的な生活を営むには週30ルナーが必要。業務に従事しているときは、収入に見合った生活費を支払済みとみなす。
  2. 訓練費用は基本ルールブックp37を参照。
  3. カルトの礼拝でPOW上昇ロールを行う週は奉仕として取得すること。入信者であれば大聖祝日を含む週、司祭等は毎季に1週を奉仕にあてていなければ非活動となる。この礼拝で獲得したPOWは神聖呪文の取得にあててよい。


経験チェックの入る技能では、向上ポイントを「経験」とするか「研究」とするかを選べます。
「経験」ではひとつの技能には1週間に1ポイントしか向上ポイントを割り振れません。従って、経験だけで向上ポイントを使い切るには5つの技能にそれぞれ1ポイントを割り振る必要があります。向上ポイントが「週単位経験上昇表」に記載された必要ポイント数を満たすと、技能は5%上昇します。
「研究」として割り振ったなら、1向上ポイントは10時間の研究時間として使用できます。「研究」ではひとつの技能に1週間に2ポイント以上でも割り振ることができます。
経験チェックの入らない技能には「研究」として向上ポイントを割り振ることしかできません。

週単位経験上昇表の見かた

縦軸が現在の技能値(技能分野修正値含まず)、横軸が技能分野修正値。表の交差する数字がその技能が5%上昇するためにに必要な向上ポイントを表します。
累積した向上ポイントが表にある必要なポイント数を満たしたならば、その技能は自動的に5%上昇します。技能が上昇したらその技能に溜めていた向上ポイントは再び0に戻ります。

週単位経験上昇表

技能分野修正値
技能 〜-5 -4〜0 1〜5 6〜10 11〜15 16〜20 21〜25 26〜30 31〜35 36〜40 41〜
〜05 15 15 12 7 5 4 3 3 3 2 2
06〜10 16 13 7 5 4 3 3 3 2 2 2
11〜15 13 8 6 4 4 3 3 3 2 2 2
16〜20 8 6 5 4 3 3 3 2 2 2 2
21〜25 6 5 4 4 3 3 3 2 2 2 2
26〜30 5 4 4 3 3 3 3 2 2 2 2
31〜35 5 4 4 3 3 3 3 3 2 2 2
36〜40 4 4 4 3 3 3 3 3 3 2 2
41〜45 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3
46〜50 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3
51〜55 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3
56〜60 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3
61〜65 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 3
66〜70 5 5 5 5 5 5 5 4 4 4 3
71〜75 6 6 6 5 5 5 5 5 4 4 3
76〜80 7 7 7 7 7 7 6 5 4 4 3
81〜85 9 9 9 8 8 8 6 5 4 4 3
86〜90 12 12 12 12 11 8 6 5 4 4 3
91〜95 21 21 20 17 11 8 6 5 4 4 3
96〜 29 29 29 18 11 8 6 5 4 4 3

週単位POW上昇表の見かた

経験の一種として、POWを上昇させることもできます。POWは経験チェックのつく技能と同様に、1週間に1ポイントしか向上ポイントを割り振れません。
POWチェックを獲得する有効な呪文を持っていない場合にはPOWに経験を得ることはできません。


縦軸は現在のPOW。横軸は「呪文投射時の抵抗ロールへのボーナス」です。呪文強化魔漿石や《吸収》《切開》などを連続して1週間を越えて維持できる場合、そのボーナスに相当する修正を受けることができます。+7以上のボーナスはほとんど影響を与えないので、近似的に+7の欄で見ます。
表の交差する数字がPOWが1ポイント上昇するためにに必要な向上ポイントを表します。
累積した向上ポイントが表にある必要なポイント数を満たしたならば、POWが自動的に1ポイント上昇します。POWが上昇したら溜めていた向上ポイントは再び0に戻ります。

週単位POW上昇表

抵抗ロールへの加算
POW 0 1 2 3 4 5 6 7
1 11 9 7 6 5 4 3 3
2 9 7 6 5 4 3 3 2
3 7 6 5 4 3 3 3 2
4 6 5 4 4 3 3 2 2
5 5 4 4 3 3 3 2 2
6 5 4 4 3 3 3 2 2
7 4 4 3 3 3 3 2 2
8 4 4 3 3 3 3 2 2
9 4 4 3 3 3 3 3 3
10 4 3 3 3 3 3 3 3
11 4 4 3 3 3 3 4 4
12 4 4 4 4 4 4 5 6
13 4 4 4 4 4 5 6 8
14 5 5 5 5 6 7 9 13
15 5 5 6 7 8 11 15 24
16 7 7 8 10 13 18 29 50
17 9 10 12 16 23 36 63 --
18 14 17 22 31 48 83 -- --
19 25 32 46 73 -- -- -- --
20 65 92 -- -- -- -- -- --
21 92 -- -- -- -- -- -- --

常備呪文表の見かた

今回は常備呪文表とその取り扱いは煩雑になるため割愛します。

特別な向上ポイントの獲得

複合専用の技能

他の技能と必ず組み合わせて使用し、「1回のロールで両方の成否を判定する」技能の一方に「経験」によって向上ポイントを割り振ったなら、生活パターンから獲得する向上ポイントとは別に、もう一方の技能にも「経験」による向上ポイントを割り振ることができます。経験チェック欄のない技能にはこのポイントは適用できません。

POW獲得に魔導呪文を使用した場合

キャラクターが抵抗ロールのある魔導呪文を持っているなら、POWに向上ポイントを割り振ったときは、生活パターンから獲得する向上ポイントとは別に、その魔導呪文にも向上ポイントを割り振ることができます。

週単位成長記録シート

「週単位成長記録シート」を使用すると、向上ポイントの記録が簡単です。「週単位成長記録シート」はこのルールによる上昇だけではなく、キャラクターの冒険の記録としても使えます。


週単位成長記録シート.pdf ※右クリックからダウンロードして閲覧


実際に冒険した週にはA(Adventure-冒険)を記録し、その他の週には選択した生活パターンを記入します。
業務に従事した週には業務に用いた技能の平均値と収入、支出のあった週には支出を記入できます。
技能/POW欄に向上ポイントを割り振る技能名(もしくはPOW)を記入してください。
まず、向上ポイントを累積し始めたときの技能値(技能分野修正値を含まないもの)を上列に記入し、下列にポイントの累計を記入していきます。
向上ポイントの累計が必要なポイントに達したら、向上した技能値/POWを翌週の上列に記入します。向上ポイントを割り振っていても、必要なポイント数に達しないうちは技能はまったく上昇していないものとして扱います。


これでキャラクターが再度冒険に登場するときに、どの技能が成長していて、どの技能はまだ成長していないのかがすぐにわかるでしょう。

向上ポイントの累積中に技能値や技能分野修正値が変化したとき

向上ポイントの累積中に技能値が技能分野修正値が変化したときは、変化した時点で累積中の向上ポイントで技能が上昇するかどうかを再評価します。
例えば技能値が25、技能分野修正値が+6、向上ポイントを3ポイント累積していたキャラクターが、冒険によって技能値が28になったとします。技能値が25のときに必要な向上ポイントは4ポイントでしたが、技能値が28になったことによって必要な向上ポイントは3ポイントに低下しました。必要なポイントを満たしたので、キャラクターは技能値を+5%して33とすることができます。

運用の指針

マスターは生活パターンによって獲得可能な向上ポイントを、キャラクターが実際に生活するであろう環境に合わせて増減させることもできます。
日常的に非常に危険で2倍の経験を得る場所もあれば、1季に1週程度しか経験をつめない安全な世界もあるでしょう。安全な世界では「経験」にできない週を「研究」として認めるべきです。
また、キャラクターが育ちすぎると考えるグループもあるかもしれません。その場合は1回に上昇する値を5%ではなく、4%、3%のように引き下げることで調整することができます。