移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-4

移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-1 - 蒼き月の囁き
移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-2 - 蒼き月の囁き
移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-3 - 蒼き月の囁き
の続きです。


ルーンクエストの移動と攻撃の組み合わせ4つのパターンのうち、「1.移動してからの攻撃」と「2.攻撃してからの移動」については前回検証しました。

  • 1.移動してから攻撃
  • 2.攻撃してからの移動
  • 3.移動しながら攻撃
  • 4.移動している相手への攻撃

今回は「3.移動しながらの攻撃」を見てみましょう。

基本ルールp57

移動と戦闘

 移動のあと、攻撃を実行するのに十分なストライク・ランクが残っていなければ、その戦闘ラウンド中に攻撃を行なうことはできません。また、相手が移動してきたところを攻撃しようとしても、その時点で攻撃に必要なストライク・ランクが残っていなければ、やはり攻撃は不可能です。しかし、移動と攻撃が同一戦闘ラウンド中に両立しないというのは非現実的です。そこで一定の条件下において、“移動しながらの攻撃”および“移動中の敵への攻撃”を可能にすることにします。

移動しながらの攻撃

 冒険者は移動しながら攻撃/受け/回避のいずれかを実行することができます。ただし、その戦闘ラウンドにはほかの行為は一切できません。また、ストライク・ランクあたりの移動力が1m低下します(人間の場合は1ストライク・ランクあたり2mになる)。魔術の効果による移動力の低下があった場合、これらは加算されます。
 移動しながらの攻撃は、本人のDEXストライク・ランク修正値に武器のストライク・ランク修正値を加えたストライク・ランク(あるいはそれ以後)において実行されます。移動することにより、SIZストライク・ランク修正値が無視されます。

移動中の敵への攻撃

 静止しているキャラクターは、移動中の相手が彼の横を通り過ぎるタイミングを見計らって攻撃を実行することができます。その際、敵は移動中であるため、攻撃成功率が10%低下します。攻撃と同様、受けや回避も通常どおり行なうことができます。
 相手が移動中であるため、SIZの要素は打ち消されます。したがって、攻撃は本人のDEXストライク・ランク修正値と武器のストライク・ランク修正値を合計したストライク・ランクにおいて解決することができます。

「移動しながらの攻撃」は日本語訳が微妙な部分(「ほかの行為は一切」とか)もあるので、原文も載せておきます。

Rune Quest Third Edition p33

Attacking on the Run

A moving adventurer may perform one of the three combat actions ─attack, parry, or Dodge─ while moving if that is all he does in the melee round. He cannot perform more than one on the three alternative. He also must slow down by 1 meter per strike rank(a human would be able to move only 2 meters per strike ranl, for instance). This slowing is cumulative to any reduction in speed caused by magic.
If the moving adventure wants to attack, he must do so on or after his DEX strike rank plus the strike rank for the weapon. Because he is moving , the benefits and restrictions of SIZ do not apply.


「移動しながらの攻撃」はルールで定義されているだけマシですが、残念ながらコルマック・サーガなどが用意されていないので、若干疑義があります。

例えばDEXストライク・ランク4、SIZストライク・ランク2、武器ストライク・ランク2のキャラクターが「移動しながらの攻撃」をしたとします。移動を開始できるのはDEXストライク・ランクでしょうか、ストライク・ランク1でしょうか。
明示されていないので、通常の移動のルールに準拠してDEXストライク・ランクだとします。
「移動しながらの攻撃」ではSIZストライク・ランクを無視するので、キャラクターが攻撃できるのはDEXストライク・ランク4+武器ストライク・ランク2で、ストライク・ランク6。それまでに移動できる距離は3×2mで6mです。攻撃をストライク・ランク10まで遅らせれば、7×2mで14m先の相手を攻撃できます。


上記のパターンはそれほどおかしくないんですが、このルールの穴はトロウルなどのSIZストライク・ランクが小さいキャラクターにあります。

マシシクナ・サーガ

 ”白百足の”マシシクナはSIZストライク・ランク0、DEXストライク・ランク3のウズコです。彼はトロウルモールを使っているので武器ストライク・ランクは1。通常の近接攻撃はストライク・ランク4になります。
 彼は遠く離れた相手を攻撃するために「移動しながらの攻撃」を行ないます。DEXストライク3から移動をはじめ、ストライク・ランク10には16メートル先の相手に、強烈な一撃をお見舞いしてやれるでしょう!
 ところがストライクランク10。攻撃しようとしたマシシクナは、自分よりDEXの高い相手に受けも回避もなしに先制攻撃を食らい倒れてしまいました。
 マシシクナの腹に槍を突き立てた戦士が不思議そうに尋ねます。


  「お前、移動してからの攻撃にすれば、
  6ストライク・ランク×3mで18メートル移動できて、
  おまけに防御できたんじゃね?


 そう、マシシクナはちょっとだけ頭が悪いんです(INT10)。
 でもこれって、マシシクナが悪いんでしょうか?


・・・まあ、こんな感じになりますw
あんまり練られたルールとはいえないですね。


また「移動しながらの攻撃」なので、攻撃したストライク・ランク後の移動分は相手から離れているという解釈もできます。例えばストライク・ランク6に攻撃した後、残り4ストライク・ランク分で8m離れていると主張して、近接戦闘範囲を抜けることもできてしまいます。



これもすべて攻撃順位であるストライク・ランクに時間の概念を混ぜてしまったせいなんですが、いまさらぐだぐだいっても仕方ありません。
次回、元のルールをいじらずに妥当な解決をするにはどうすればいいかを考えて見ましょう。


つづく。