移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-2
移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-1 - 蒼き月の囁き
の続きです。
ではよく直面する「判定にマスターの裁量が必要なケース」をひとつ見てみましょう。
下記のふたつのルールを使います。
基本ルールブックp47
戦闘ラウンド中の移動
戦闘ラウンド中に移動を試みる場合、その開始時期は本人のDEXストライク・ランクに等しくなります。
以降の各ストライク・ランクにおいて、冒険者は最大3mずつ移動することができます(戦闘や魔術などの行動を取らなければ)。そして、つぎの戦闘ラウンドでは、やはり本人のDEXストライク・ランクから始めて、1ストライク・ランクにつき3mまで移動を行なえるのです。
基本ルールブックp59
戦闘状態から抜け出す
戦闘に加わっているキャラクターは、1戦闘ラウンドを費やして相手を振り切ることで、戦闘状態から抜け出すことができます。このラウンドには受け・回避以外の動作は一切行なえません。ラウンド終了後、キャラクターは自由に移動できます(もしできれば)。ただし、移動の開始は続く戦闘ラウンドの、本人のDEXストライク・ランクからです。以上の手順は騎乗の敵同士にも当てはめることができます。
冒険者が騎乗の状態で、徒歩の相手を振りきる場合は、回避あるいは受けに2分の1戦闘ラウンドを費やしたのち、動物を駆って走り去ることができます。振りきる騎乗者に一撃を加えるには、長い武器を持った足の速いキャラクターでないと無理でしよう。
徒歩のキャラクターは隠れるか魔術を使うかしないかぎり、騎乗の者を振りきることはできません。
振りきろうとするキャラクターが脱出する前に一撃を負った場合、その損傷部位は体の背面になります。
ペルシカたんに登場してもらい、上記のルールを再現してみます。
ペルシカ・サーガ
ペルシカは茂みから現れた山賊の不意打ちをかろうじてかわしました。たたらを踏んでにらみ合った後、隣接した状態で不意打ちのラウンドは終了です。
次のラウンド、ペルシカは一目散に逃げ出すことにします。
ストライク・ランク1、ペルシカは3m後方に移動しました。山賊が攻撃できるストライク・ランク7までにペルシカは21メートルの彼方にいます。
ストライク・ランク7山賊は構わずペルシカを攻撃します。ルールに従えば「キャラクターは1戦闘ラウンドを費やして相手を振り切らなければ戦闘状態から抜け出せない」のですから、ペルシカはまだ目の前にいるか、21メートル先にいても彼の攻撃は届くのです。
剣による攻撃は命中し、ペルシカは右膝をついて倒れます。
・・・えーと。何が悪いんでしょうw
ルーンクエスト第三版で、このシチュエーションに適用できるルールは上のふたつだけです(たぶん)。
「戦闘に巻き込まれたキャラクターは自由に移動できない」
とか
「後ろに向けた移動はできない/速度が落ちる/方向転換にはコストが必要」
という記述はどこにもない。
文面どおりに解釈すると、不思議時空のできあがりです。
これはストライク・ランクが本来は間合いや呼吸による順位を示すルールなのに、そこに移動という時間が紛れ込んでいるために起こっているんですよね。
例えば攻撃というのは下記のように定義されています。
基本ルールブックp50
攻撃の手順
攻撃とは武器を使って相手を傷つけようとする行為です。1回の攻撃はただ一度の打撃を意味するのではなく、第1撃を行なうストライク・ランクから始まる、一連の打撃あるいはその組合せを指します。
従って、ストライク・ランク7で攻撃する山賊も、実際はストライク・ランク1から剣を振るっています。*1
だけどその7ストライク・ランクの間に目標となったキャラクターが戦闘していても、逃げ出しても、それこそ本を読んでいても何も変わらない。
なぜなら7ストライク・ランクは「あいだ」ではなく順位だから。
この混乱がルーンクエストの戦闘ルールが抱えている一番の問題なんじゃないかな。
細かいようでいて、ルールの根本に混乱がある。
だから何を持って妥当とするかはともかく、マスターの裁量が多くを占めるので、ルーンクエストは難しいよな、と思います。
よく他のシステムに乗り換えたくなるw
つづく。
*1:解釈によってはDEXSRM