移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-5

移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-1 - 蒼き月の囁き
移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-2 - 蒼き月の囁き
移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-3 - 蒼き月の囁き
移動と戦闘のハウスルールを見直してみる-4 - 蒼き月の囁き
の続きです。


前回までの検証の通り、ルーンクエストのストライク・ランクは移動と組み合わせるには無理のあるシステムといってしまっていいでしょう。そもそも日本語約すれば「打撃順位」なわけで。
そもそもストライク・ランクとは何なのか、どうデザインするのが美しいのか、というのも書けば書いたで面白い。だけど、「正しい」ルールを追求するときりがなく、それならルーンクエストやめちゃったほうが早いですw
俺がルーンクエストから離れないのは、単に過去の資産がありすぎて、データコンバートしたりプレイバランス取り直すよりも、矛盾は矛盾として認めてしまったほうがラクだから。
あと、プレイヤーを募集したときも、共通言語としての『ルーンクエスト日本語版』というのは大事なので、大きくテイストを変える変更はしないことにしています。


これらを考慮したうえで、ひとつづつ問題を解決していきましょう。

「攻撃してからの移動」の裁定

「攻撃してからの移動」はルールで定義されていないので「できない」としてしまってもよく、ストライク・ランクのシステムとしては妥当です。しかし、長年ゲームしてきた感覚で言うと、ストライク・ランク1で攻撃したキャラクターが、なにもせずにストライク・ランク10までぼーっとしているというのは、プレイヤー的に苦痛なんですよね。
特に味方が死にそうな傷を負った時などは、駆けつけて治療したくなるし、マスターもそのほうが助かります。
従って「攻撃してからの移動」は可能とし、移動してからの攻撃と整合性を取って下記内容とします。

基本ルールブックp48

ストライク・ランクの修正

 移動:人間は通常、1ストライク・ランクあたり3m移動することができます。その戦闘ラウンドにおける移動後の行動は、本来のストライク・ランクに移動時のストライク・ランクを修正値として加え、それを合計したストライク・ランクにおいて解決されます。ZOCを抜ける不利益を受けてよいならば、攻撃した次のストライク・ランクから移動を行なえます。

ZOCの設定とZOC抜けの裁定

一方的に攻撃できる「ハメ技」的な状態が生まれる原因は、DEXストライク・ランク未満では何も行動できないというルールが原因です。
体感としては「相手の近接攻撃が当たるならこっちの近接攻撃も当たるはず」というのが妥当でしょう。
例外事項っぽくてちょっとイヤなんですが、ZOCを抜ける行為に限って、いわゆる機会攻撃を可能にしてやります。

ZOC(ゾーン・オブ・コントロール

 近接攻撃行動中のユニットの周囲1メートルをZOC、そのユニットをZOCの支配ユニットと呼びます。近接攻撃行動中とは、DEXストライク・ランクの消費からはじまる行動変更を含まない、攻撃ロールまでのストライク・ランクを指します。「移動してからの攻撃」のためのストライク・ランク、ブレースや部位を狙った攻撃のために余分に消費するストライク・ランク、故意に攻撃を遅らせるためのストライク・ランク、これらに類似したその他のストライク・ランクを含みます。
 支配ユニットはZOCに進入もしくは所在したユニットに対して即座に〈攻撃〉ロールを行なう権利を持ちます。ただし目標ユニット牽制状態にあるときは、〈攻撃〉ロールは通常の攻撃ストライク・ランクになります。牽制状態とは、ストライク・ランクあたり0.5メートル以下の移動で、自分に対する攻撃への〈受け〉か〈回避〉、もしくは支配ユニットに対する〈攻撃〉を行なうと宣言している状態を指します。

ペルシカ・サーガ

 ペルシカは茂みから現れた山賊Aの不意打ちをかろうじてかわしました。茂みの後ろからは、もうひとり山賊Bが姿を現します。山賊Aとにらみ合った状態で不意打ちのラウンドは終了しました。
 第二ラウンド。ペルシカは逃げ出そうとしますが、山賊AのZOC内にいるために、通常の移動を行なうと、即座に山賊Aの攻撃を受けてしまいます。しかし、〈受け〉もしくは〈回避〉を行なう場合はストライク・ランクあたりの移動は0.5メートルに制限される上に、相手との間合いを計るために山賊Aの攻撃ストライク・ランクまでまたなくてはなりません。山賊Bは「移動してからの攻撃」を宣言しています。ストライク・ランク4にはペルシカは山賊BのZOCにも捕まり、ラウンドの終わりには山賊Bがペルシカの背後から一撃を与えてくるでしょう。


 ペルシカは〈受け〉も〈回避〉も行なわず、一目散に逃げることを選択しました。
 ストライク・ランク1にペルシカが移動を宣言したので、山賊Aは自分の攻撃ストライク・ランクに関わらず、即座に攻撃ロールを行なうことができます。ペルシカはこの攻撃に対して〈受け〉も〈回避〉も行なえません。
 「移動中の相手に対する攻撃」になるため、山賊Aは命中に10%のペナルティーを受けるものの攻撃は命中し、ペルシカは右膝をついて転倒してしまいました。


 彼女の希望は潰えました。この後の惨劇はここに書くべきではないでしょう。


だめだw


ZOCのルールはわかりやすく書こうとして何度もリライトしたんですが、これ以上わかりやすく書けないー!
「近接攻撃行動中」「支配ユニット」「目標ユニット」「牽制状態」とか、ルールにない用語をいくつも定義しないといけないし・・・。
キャラクターではなくユニットとしたのは、「支配キャラクター」とか名付けると誤解を生みそうだから。


なお、ペルシカがもう少し戦い慣れていれば、「移動しながらの攻撃」を行なってから離脱する方法もありました。
ペルシカのDEXストライク・ランクは1でロングスピアの武器ストライク・ランクも1ですから、彼女はストライク・ランク2で山賊Aに「移動しながらの攻撃」を仕掛けることができます。あたるかどうかは別問題ですがw
「攻撃してからの移動」には行動変更の必要がないので、ペルシカはまだ山賊BのZOCに入っていないストライク・ランク3に山賊Aの攻撃に身をさらしてから逃げ出すことができます。
攻撃ロール1回分の確率だけマシですね。



次回、複数キャラクターがZOC内にいるときの「体の入れ替え」、そして「ZOCの突破」「移動の制限された状態での戦闘」あたりに続きます。