アップランド湿原-5(遭遇-1)

下記はアップランド湿原-4の続き、Wyrms Footnotes 15のp19-20あたりの適当訳です。
英語の相当怪しい人ですので自分が使うのに困らない程度でしか訳していません。口調不統一や日本語として意味が通じなくてもご愛嬌。
いまやPDFで購入できますので、原本を当たられることをおすすめします。

      • -

湿原での遭遇

このセクションはディレクティの領域に入った時、侵入者たちが何に遭遇するかという、一般的なガイドラインとしてデザインされています。湿原の環境は、刻一刻と物理的に変化します。
島は彷徨い、遺跡はゆるやかに沈み(時には浮かび上がり)、周囲には不死者たちがよろめき歩きます。地図は信頼できる相手から入手したとしても、信頼性が低いことで悪名を馳せています。
アップランド湿原はゆっくりと動く濁った汚泥に囲まれた、汚い島や剥き出しの岩の寄せ集めです。物理的には、ザ・クリークとザ・リバーの両方がそこを流れ抜けていますが、彼らの通り道は、堆積物の河で繋がれた、小さな湖の動きのない連なりです。サイプレス沼地とルイジアナのバイユー*1を思い浮かべましょう。木々が苔に覆われた風景。あなたはそこにいます。立ち去りましょう。

湿原を旅する

湿原の大地を移動するのは非常に困難です。
一般的な獣は苦しみ喘ぎ、最高に訓練された乗騎は、一歩も踏み出そうとしないでしょう。いずれにせよ、これらに乗ることは不可能です。唯一、地形への生来の親和性を持つダックだけが、普段に近い速さで移動できます。

ディレクティの壊れし使い魔リハリャ(Rihalya)が、絶えることのない霧のマントで彼女の主人を守っています。このため、視界は日中で30メートル程度、夜間はおそらく1〜6メートル程度に制限されています。彼女は湿原を広げるための準備として、厚い霧を立ち込めさせます。彼女たちが湿原の外に踏み出そうとしたときはいつでも、彼女は闇の娘達の淫猥な踊りの先陣を切ります。魔法で強化された場合を除いて、拡張された様々な形態の視力のもっとも強力なトロウルのダークセンスでさえ、基本的には役に立ちません。
この空気はありとあらゆる奇妙な匂いと不気味な音で満たされています。時には、窒息するほどの腐敗臭さえします。湿原に踏み込んだものは、個別の匂いを区別できなくなります。多くの飛行生物も、湿原の上空域を避けようとしますが、訓練された乗騎であれば飛行することができます。知性のある乗騎はほとんど、強制されない限り霧に向かって降りようとせず、ましてや着地しようとはしないでしょう。

ダックと湿原

ダックの案内人なしに湿原を探索することは、ほぼ不可能です。無限に押し寄せる歩く死体達が彼らを泥の下に引きずり込み、生けざるものの軍団の仲間入りをさせてくれます。
ところが、ダック達(ドゥルルズと自称する)の小船は、比較的安全にアップランド湿原を動き回ります。
賢い冒険者は、常に湿原に入る前にダックの案内人を探します。
闇の季に湿原を通り抜けることは特に困難です。湿原のドロドロの水が、ボートの漕げるわずかなぬかるみの路を残して凍結してしまうからです。ドゥルルズの船頭は氷のような水に棹さして、自分の道を進むのに驚くほど優れていますが、それでも闇の季の温度があまりにも下がりすぎると、ダックはお手上げになります。彼らは、リビングデッドは寒さで悩むことはないと警告しますが、少なくとも、いつもは湿原を覆っている虫や蚊の群れは静かになります。

ディレクティのアンデッドについての注意

ディレクティのアンデッドは、彼が特定の戦闘に焦点を当てて彼の力で直接制御しない限り、おおむね機械的な防衛行動に従います。ディレクティは、時折、彼のアンデッドが強力な人々を打ち負かして、捕縛することを好みます。他の者は死ぬまでバラされます。溺死がもっともお気に入りの攻撃です。なぜなら、損傷のない死体が保証されるためです。
湿原内には、小さな領土を支配する強力なアンデッドが何体もいます。彼らがディレクティに忠誠を誓っている限り、彼らがその小さな領土の中で何を行うかは、比較的自由に任されています。ディレクティの不死の部下達は、何世紀にも渡って、非常にゆっくりと腐敗しています。湿原の外に出たゾンビの腐敗が加速することが観察されています。腐りきったゾンビの多くは、彼らの途切れぬ記録を、スケルトンとして続けます。

結局のところ、ディレクティ以外、彼が何をしているかについて、自信をもって答えられる者はいません。何人かの部外者は、湿原内で彼の目を逃れることはできないと思っています。他の者は、彼らが非常に力を持っているか、直接彼や領土を脅かさない限り、ディレクティはほとんど侵入者に関心をはらわないと思っています。
彼のサンザシの木への攻撃、フマクト信徒の大規模な侵攻、彼の廃墟への侵入は、常に彼の注意を引きます。彼が必要としたときに召集できる軍隊は相当のものです。

ドゥルルズの小船

多くのドゥルルズの小船は、ドゥルルズがその横を泳ぐ、堅く編まれた葦船です。貨物と物品は、防水革と葦容器に置かれて、ボートにつながれます。より大きな貨物と人間の乗客は、葦のいかだの上にあまり区別なく積み上げられます。船頭はいかだを操縦するために、淀んだ水に棹さすか、そのそばを泳ぎます。
ダックは、一見無造作にいかだを繋いだり離したりします。
ドゥルルズの小船には、おかしな名前(「ナメクジ急行」、「ミミズの鞄」、「クアックフォードの誇り」と「ゴープ狩師」のような)が派手に描かれれます。それらは精霊か小さな守護者のいる粗雑な呪付か焦点具に違いないと言うものもいます。
ダックは、彼らの乗客が、旅行にまつわるすべての守るべき儀式を遵守をしてくれるのを期待します。

ドゥルルズの旅客向けの「渡し船」は交易語では「びちゃびちゃ(ウェティ・ウェティ)」として知られています。 渡しのための交渉は大声でどなりあう手順を踏みます。全員とその荷物を載せるよう強制する行為も同様です。そして、もし自分用のボートを雇えたと思っているのならばそれは大きな間違いです。妙な装飾品をつけた年取ったダック婆あや臭う沼足をした不快な蝸牛飼いの雄ダックがべっとりまとわりつく財産と一緒に乗り込んできて、あなたを押し潰すでしょう。
それでも最悪というには十分ではなく、ボートは回り道をし、蒸しカタツムリの箱、キャベツの籠、湿った羽といっしょに他の乗客を拾い上げることさえあります。そして、船頭が密輸されたルナー製のジンで酔っぱらっている間、彼らは口論しながらグワッグワッと奇妙な歌を歌い始めます。多くのサーター人は、ドゥルルズの手でそんな目に合わされるより、不死者の軍の危険に立ち向かうことを好むと言われます。

      • -

続き → アップランド湿原-6(遭遇-2)

*1:細くて、ゆっくりと流れる小川