あけまして77は神の目と場の量子論と箱庭

あけましておめでとうございます。
本年も楽しくTRPGできたらいいですね。


 「侵月」キャンペーン参加プレイヤー以外はわかりにくい話ですが、正月早々から寝言を呟いてみる。


 侵月では「77は神の目」ルールを停止し、「77はPCにストックしてその場では神の目ルールの適用はしない」ということにしたわけですが、前回のセッションでその真の挙動が見えました。


 セッションの中で明らかになった「ストックを消費することで任意のロールに77が出たものとして再ロール」「ストックはキャラクターの能力・技能から変換可能」という2点から、ストックは世界の分岐可能性の蓄積で、そしてWILLでもあると推測できます。


 プレイヤーが77をロールする確率が増えすぎているので「77頼り」をブロックしてみようと思いつき、ブロックされているのはいったい何かと考え詰めた結果、77は世界の選択可能性の分岐点ヒーロークエストにおける瘤だというところに辿り着いたわけですね。


 ならば「意図した時と場所に分岐点を置けたら?」というのが基本アイデアです。しかしこれだけだと分岐点を置いても一方の結果しか観測できない。複数の結果の観測をするにはループものグローランサ的には再演を繰り返すことになるのは必然。


 ここから先はプレイアビリティの問題も含めて、管理可能な情報量にするためにはループする時間と距離を小さくする必要があるが1戦闘や小規模ダンジョンでは選択ダイナミックさがなくなるということで夜の山の中、8時間程度という舞台設定になった、と。


 タイムリープ世界線というのは非常にグローランサにマッチした考え方なので、シュタインズゲートをやってからぼんやりとどこかで適用しようかなー、と煮詰めてたのが今回ガッチリはまった感じですね。


 私がマスターをするときは、ご都合主義に流れそうになるのを世界の因果律で自分を縛る作業をします。プレイヤーのダイスロールは世界改変であるという認識に辿り着いていたので、昔から世界をハンドリングするときに意識していた場の量子論と照応させてダイスロールと世界の関係性を構築しています。


 再演についてもエネルギー保存の法則が働いていて、大きな改変には大きなエネルギーが必要。プレイヤーのダイスロールというのはこのエネルギーそのもので、真空から湧き出してくる量子の対生成。77という偏った閾値が対象性の破れ。


 うちのWILLルールの「キャラクターの能力・技能はWILLと交換可能」「WILLは世界を変更する力」という定義から、セッションの結果キャラクターが成長していくということは、特定のアイデンティティに世界を改変するエネルギーが蓄積されていく過程ということになります。


 まあそんな風にいろいろと妄想を煮詰めてありますが、神様はなんでも自由にできるわけではないよ、というのは大事なルールです。


 なぜ77が通常の処理がされずストックされたのか。なぜ特定の時間までしか戻れないのか。何が改変できて何ができないのか。などルールを探っていくと、また世界の性質が露になっていって面白いと思うので、いろいろ遊んでみてください。




 今回の思考実験はマスターとしてもいろいろ発見があって、特に箱庭世界とPCという存在の特異性、箱庭といわれるマスタリングスタイルで自分が何をやっているのかについてはいろいろ考えさせられました。


 俺はダイスロールとその結果をすべて世界の改変として処理しています。マスターの用意した世界はPC達とは無関係に存在しているような顔をしながら、実際はPC達が観測しなければ何も起こらない確率の雲


 テーブルトーク的にはキャラクター達に行動する機会があり、ダイスロールが赦されているということがいかに特別なことか。


 「77は神の目」も、長年運用する中で、このルールには箱庭型とシーン型を繋ぐ効能があることがわかってきています。


 世界への没入の代償に物語の駆動に弱点のある箱庭型。物語の保障の代償にメタ視点を要求されるシーン型。しかし実は箱庭を求めているプレイヤーなど存在しない。用意された物語ではなく自分の物語、メタ視点を要求されない物語を求めるプレイヤーがいるだけ。


 箱庭は必須ではなく物語は必須。日本のナラティブ型のTRPGの隆盛はこの本質をよく見極めた発展だなー、と。もちろん自分の物語を提供できるわけではないし、メタ視点を排除するまでには至っていないわけですけど。


 で、ベーシックロールプレイでは技能ロールは世界の物理法則(魔法も含む)に対する処理と説明されますが、視点を変えて、物語法則に対する処理と看做すこともできます。しかしルールブックにはそう書いているわけではないので、マスターが実際にそう処理していたとしても無批判の適用は疑義のあるところ。「77は神の目」は、追加効果としてドラマが発生すること明記することで、ダイスロールというルールの根幹の部分に物語ジェネレーターを導入しているるわけですね。



そんなことをつれづれ妄想しながら年越しをしたわけですが、本年もよろしくお願いいたします。